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事務局長より~日日新(PROGRESS)~

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日日新Vol.R4-9
追悼渡邊薫先生

 渡邊薫先生が亡くなられた。95歳だった。白河学園の理事や嘱託医を長年務めてくださり、嘱託医としては一昨年まで健康診断や予防接種などで子ども達の健康と成長を見守っていただいた。 


 30数年前に私が入職した時はすでに嘱託医であり、以来、健康診断など施設にお出でになる際は送迎を担当させていただいた。子ども達の健康や将来のことを大変気にかけておられ、生活や退所後の様子などの質問をしばしばいただいた。また、法人が不安定だった頃を知っておられるので、運営のことも心配され気遣いの言葉を沢山かけていただいた。往復30分ほどあったが、一対一でお話ができる貴重な時間であった。 


 先生はあまりご自分の話題に触れることはなかった。しかし、ある時市内を走行中、正面に見える岩肌を指差し突然話し出されたことがあった。その岩山に登り鉱物(名称は失念)を採掘したことがあったらしく、少年のように目を輝かせ当時のことを話していらした。 

 また、晩年に健康診断で来られた時、ご自分が寄贈した絵画を見てみたいとのことでご案内したことがあった。“厳冬の小峰城”その前にしばらく立たれ、「いい絵だ」と嬉しそうに目を細めていらした。フェルメールが好きだとも話されていた。 

 その他、街並みの変化や庭の大木のこと、飼い犬のラッキー君のことはよく話されていたように記憶している。そんなことが次々に思い出される。


 先生が医療のみならず、多方面で地域に貢献されたことは言うまでもない。今年の春に蕎麦屋で先生をお見掛けした際、私よりボリュームのある食事をされていて、まだまだご活躍されると思っていたのでとても残念でならない。あらためて感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りしたい。


ほの白き茗荷の花の灯るころ心ある人天に召されぬ

 

法人事務局長 班目 宏

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