事務局長より~日日新(PROGRESS)~
バックナンバー
日日新Vol.R5-4
研 修 今 昔
コロナ禍で研修などもリモートで行われるようになってきた。感染防止を考えれば仕方がないことである。リモートは移動も宿泊もなく、便利で効率的だ。事故にあう危険性もなく安全でもある。
コロナ終息後もこのような形が定着するのだろうか。昔のように一つの部屋に集まって酒を飲んで、外に繰り出したことが懐かしい。関係機関の職員とも激しく酒を飲みながら夜遅くまで話をした。次の日の会議はたいがい静かだった。机に突っ伏し死んでいる人もいた。
某会館で県内児童養護施設職員の研修が1泊2日であった時のことである。1日目が終わり、そこで散々飲んだあげく何人かで外へ出た。外でもしこたま飲んで戻ってきたら、入り口が施錠されている。そういえば、出かけるときに管理人が門限のことを言っていたことをうっすらと思い出した。携帯もない時代で途方に暮れていると、自分たちの部屋と思しきところに灯りがついている。そこをめがけて小石を投げると、運よくAさんが気づいて管理人に連絡をしてくれた。眠そうな顔の管理人が鍵を開けてはくれたが、しっかりと怒られた。酔っぱらって館内の履物で出かけたBさんは、その場にうずくまり裸足の右足からは血がにじんでいる。S園のMは植え込みの陰で前後の大きく揺れながら放尿している。Cさんがイライラしている管理人を気遣い、早く入るよう促してくれ軍団は部屋へと戻ったのである。
この先このような機会は訪れるのであろうか。酒なんか飲まなくとも自分の意見を伝えられると言えばそれまでだ。スマホがあればわざわざ会う必要もないのだろう。だけど、通信環境の整っていない時代にあって、建前ではなく本音でものが言える大事な機会があったことは間違いない。今の時代でも生身の人間の体温や息遣いを感じながら話をすること、その場に一緒にいることはリモートとは違う親近感が生まれるのではないかな。でも、飲みすぎにはくれぐれも注意しなければならない。研修で沢山のものを得たおじさんたちは、記憶の一部と若干の信用、そしてスリッパ片方を失ったのだ。
※石投げや土足、立小便など不適切な行為があったことを反省しております。良い子は絶対に真似しないでね。
法人事務局長 斑目 宏