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事務局長より~日日新(PROGRESS)~

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日日新Vol.R2-8
 令和2年7月21日午前9時30分ごろ、地域小規模児童養護施設みのり寮から出火し、建物が全焼しました。この火災に際しては、近隣の皆様、関係の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 また、消火活動や近隣施設の避難誘導にご協力いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。
 地域の皆様をはじめ、みのり寮の子どもたち6人と職員に人的被害はありませんでしたが、多くの方が不安な気持ちで過ごされたことを思うと大変胸が痛みます。
 みのり寮の子どもたちは当日のうちに本体施設に移り、職員とともに新たな生活を再建し、未来を築いていこうと前向きに歩んでおります。
 新年度が始まり4カ月余りが過ぎました。県内の新型コロナウイルス感染症は落ち着いていますが、移動の制限がなくなり第2波や長期化が懸念されます。
 3月から学校や幼稚園が休みとなり、児童養護施設の子どもたちは根気強くステイホームを続けてくれました。放課後等デイサービス事業所でも終日子どもたちの支援、援助が必要な状態が続きました。業務の性質上密接は避けられませんが、職員は使命感を持って職務を遂行してくれたので、すべての事業所が休まず営業することができました。
 9年前も放射能という見えない相手との共存がありました。現在、施設入り口のモニタリングポストは0.1μ㏜前後を示していますが、残念ながらウイルスの有無に関しては居ながらにして知る術はなく、感染症の予防は基本を徹底するしかありません。
 ところで、今後新しい生活様式は定着するのでしょうか。
 白河学園では理念及び基本方針にジェントルティーチングによる支援を掲げています。ジェントルティーチングは相互の変容に基礎を置く、非暴力を目標とした力に依らない支援方法です。実践に当たって、手や言葉、表情が安全・安心の感情を教える道具であることを教えています。寄り添い、手を差し伸べそっと触れること、身体の一部に手を置くこと、握手をすることで安心や愛情を感じるのです。
 新しい生活様式では対面、接触を避け、距離を置くことが求められています。必要に応じてマスクも着用しなければなりません。「寄り添う」そのままの意味は、「そばにぴったりと寄る」です。ソーシャルディスタンスを守れば、寄ることも触れることもかないません。マスクをしていては表情もわかりづらくなります。
 新しい生活様式での新しい支援のあり方、手法の工夫は必要でしょう。遊びや行事も然りです。だけど、優しいまなざしをもって、相手の価値観を柔軟に受け入れ共感すること、交わりの感情に基礎を置き生の文化を発展させていくことに変わりはありません。
 コロナと火災、有効なワクチンや薬もなく、今までの生活の場を失った状況で出来ないことを嘆いても仕方ありません。そして、不運な出来事で不幸になってはいけません。出来ることに着目して前に進んでいくことが、今は何よりも大切なことなのではないでしょうか。
                社会福祉法人 白河学園
                法人事務局長 斑目 宏
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