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事務局長より~日日新(PROGRESS)~

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日日新Vol.R1-11
今日の泊り誰?

「今日の泊り誰?」子どもたちからから聞かれることが度々ある。お迎えに行った幼児園児やランドセルを揺らしながら駆け寄ってくる子ども達、私の答えに「やったー」や「えー」の反応が返ってくる。子どもは正直だ。そして年齢が下がるほど遠慮がない。寮での役割分担もあるし、相性もある。子どもによって泊まって欲しい職員も違う。だから一概には言えないのだけど、子どもからいろいろなエピソードを聞くにつけ「えー」の職員が特に嫌いというわけではなく、「やったー」の職員には、そばにいて欲しいという何かを感じていることに気付かされる。子どもが大好きな職員の話をするとき、キラキラした目の奥に共通の何かが見えてくるのだ。
 ちなみに、私が直接処遇をしていた頃はどうだったのだろうか。子どもから「今日、先生泊り?」と聞かれ、イエスの答えに何度も耳にしたのが、「やったー」でも「えー」でもなく、特に年長児からの「ラッキー」の言葉だ。ちょっと微妙であり、ある意味屈辱的でもある。私がユルユルでスキだらけなので、ちょっと一服がし易いと思っていたのだろうか。私は元々自分にも甘く他人にも甘いのだけど、ひどく怠けていたわけではなく、乱暴な子どもが多い中、一番弱い立場の子ども達の所にいるように努めていたためと、一言、言い訳をさせていただく。
 ところで、9月1日に満を持して「白河学園児童家庭支援センター」が開所した。同日開所した郡山の「ほしくま児童家庭支援センター」とともに県内初である。児童養護施設の在り方を模索する中で得たひとつの形であり、既に実施している障害児通所支援事業や相談支援事業と連携して、地域の子どもや家庭をめぐる問題が深刻化する前に対応できたらと考えている。次年度からは近隣の市や村と契約を結び、ショートステイやトワイライトステイも受け入れる予定だ。地域に在って、あまりメリットを感じて貰えなかった児童養護施設の機能が認知され、喜んでもらえることを心から願っている。
 「新しい社会的養育ビジョン」により家庭的養育が推進され、今後、養育者が代わらない方向に進んでいくのだけど、「えー」の養育者とずっと一緒は嫌だな、「ラッキー」もいまいちだし、やはり「やったー」の人の所で安心して暮らして欲しいな。
 「やったー」の職員の共通点、私見ではあるが「問題を子どもの側に置くことや、服従に焦点を置くことをしない、相互変容のできる人」だと思う。たとえ叱られたとしても、子どもが自分に寄せられている深い想いに気付き、安心して身を委ねられるかということだ。
 私が夜勤をすることはもうないのだろうけど、泊まって欲しい職員になれたらいいなとはいつも思っている。おそらく、子どもの反応は「大丈夫?」に違いないのだけど。


                社会福祉法人 白河学園
                法人事務局長 斑目 宏
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