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事務局長より~日日新(PROGRESS)~

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日日新Vol.R2-11
もみじの木に想う
   長い間、白河学園の子どもたちの成長を見守ってきたもみじの木が伐採された。寄る年波で枝折れや倒木の危険が生じたためである。昭和25年に白河学園は開設されたが、当時の写真にはすでに、子どもたちの笑顔とともにもみじの木が写っている。秋になると見事に紅葉し、近所の方やOBからも親しまれていたのでとても残念である。
 木がなくなったら直接太陽が差し込み、明るくなった。同時に、建物の壁の汚れが目立つようにもなった。もみじの木々がカバーしてくれていたことも沢山あったのだろう。夏の暑さが今から心配である。
 そして、モミジの大木は、老いることが時として思わぬ迷惑をかけてしまうことを教えてくれた。新陳代謝が適切に行われなければ、組織全体が機能しなくなってしまう。私たちの身体も法人も制度とて同じことであろう。
 社会福祉や社会保障の問題が深刻さを増し、若い世代に大きくのしかかってくる。高度経済成長・人口増加の局面で充実してきた制度が悲鳴を上げているのだ。2040年を見据え、社会福祉法人の果たす役割は非常に大きく、地域社会と連携・協働し、人々の暮らしを支えていくことが求められている。たとえ、対象者が一人となっても地域福祉を守るのは、長年地域で福祉を実践してきた社会福祉法人であると思っている。勿論、その社会的意義の大きさを掲げただけで足並みがそろうわけではなく、職員の雇用と生活を守る経営努力が前提となる。
 20年後、社会福祉法人を支える後継者世代への期待は大きい。その育成を事業計画で定め、自分自身の役職定年も決めた。今後、合併や事業譲渡の議論が加速するだろう。それ自体が目的ではなく、法人が安定して継続的に運営されることが、利用者は勿論、地域にとっても職員にとっても良いことであることは間違いないからである。
 いくら掃いても降りしきる落ち葉。一心不乱にかき集めた若き日を思い出す。当時の園長が言った。「きれいに掃いた地面に落ちるもみじだから美しいのだ」と。きりがなく思えてもやり続けること、その姿自体が美しく尊い。地域福祉も子どもの支援も同じである。
                社会福祉法人 白河学園
                法人事務局長 斑目 宏
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