事務局長より~日日新(PROGRESS)~
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日日新Vol.R3-6
白河学園で出会った子ども達(part1)
帰るなと 我が下駄箱に糞入れし 子どものことなど思い出づる日
発達に遅れのある中学生の男の子。夜勤入りの日曜日にキャッチボールや穴掘りをして沢山遊んだ。「学校から帰ったら明日また遊ぼう。」に「うん。」と言ったのが運の尽き。夜勤明けで午前中に退勤するのである。
翌日、彼を起こしながら、そのことを伝え謝った。がっかりしながら登校。業務を終え、帰ろうとして下駄箱を開けると驚きのお土産が・・・。
今でも教訓にしている、懐かしい思い出である。
朝食を終えしすぐに 昼食を問う子と庭に 蟻と遊べり
同じ子どものことである。食べることが大好きで、朝ごはんが終わると昼ご飯が気になって仕方ない。「今、何時。」「お昼、何。」ひっきりなしに聞いて来る。お昼までどうやって過ごそうか。
8月の炎天下、アスファルトの隙間を出入りしながら、蟻が忙しく働いている。大好きな蟻に彼の目が輝く。青葉寮の玄関前で坊主頭を青黒く光らせながら、身じろぎもせず蟻を追う姿が今も目に焼き付いている。あの鮮やかな黄色のTシャツ。高い空に銀色の飛行機が鈍く光っていた。
二人で過ごした真夏の昼の出来事。
彼の計算のない純粋さは、私の汚れをあっけなく見透かし、それを言うでも攻めるでもなく、只々幸せな気持ちにさせてくれた。関わりすべてが学びであった。
今、どうしているのだろう。
法人事務局長 斑目 宏