事務局長より~日日新(PROGRESS)~
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日日新Vol.R3-7
白河学園で出会った子ども達(part2)
母の住む 街につながる空を見る 子の頬染めて冬の暮れゆく
クリスマス会が終わると一時帰省が始まる。帰る子、帰らない子、一人ひとりの思いが交錯する。
無邪気に帰省を喜ぶ子ども、残る子を慮り帰る子ども、帰りたいと泣く子ども、寂しさをおくびにも出さない(ように振る舞っている)子ども等々。
一時帰省の喧騒が過ぎ去った夕べ、彼女は自室の窓から遠くを眺めていた。冬の日暮れは早く、西日が頬を赤く照らしている。寂しげな眉に師走の風が冷たい。
子ども達の思いがひしひしと、私の心のあかぎれに沁みる。
夏休み帰らぬ子らが集まりて 西瓜を切りぬ 赤き西瓜を
一時帰省ができない子ども達の楽しみは、日常と違った作業ができること。大きな西瓜を買ってきて子どもたちに切らせたことがあった。
二つに割れた西瓜の真っ赤な果肉に歓声が上がる。まさに、子ども達に流れる赤き血潮だ。
皆でスイカを食みながら、一人ひとりの夢を聞いた。
ずっと昔の思い出。
白河学園では本体のすべてを小規模グループケアとした。そして、3つの地域小規模児童養護施設を開設している。これから更に単位ごとの人数が減り、地域分散化も進んでいく。
子ども達はここで人生の大切な時間を過ごす。自分の家族や家庭を心のどこかに置いて生活を続けていく。これは、形態がどのようになっても変わらないことだろう。
そんな気持ちを受け止め、尊重し、心を解き、育むのは、寄り添う人のぬくもりと優しいまなざし。
いつもの暮らしの中で一緒に人生を描いていく。それは私たちに与えられた責任のある、そして幸せな役割。
法人事務局長 班目 宏