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事務局長より~日日新(PROGRESS)~

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日日新Vol.R3-8
白河学園で出会った子ども達(part3)
 


ランドセル 揺らし駆け来る子と歩く 歩いていたくて再雇用となる

「先生、園長辞めて何するの?」
「何だろうねぇ…みんなのじーじかな」
「なんか暇そうだね」
「かもね。じゃぁ、一緒に遊んでくれる」
「いいけど…そうだ、先生は足速いんだからもう少し頑張りな」
「ありがと」

たわむれに わが影踏みて逃げて行く 子の丈超えて立葵咲く

昼下がりの公園、砂を蹴って小さな影が逃げて行く。追いかける私の影はモンスター。
行き止まり。頂に花を咲かせた立葵、そょりと揺れて喋りだす。「踏まれても痛くないよ。アッカンべー」
銀の水飲みがキラリと笑った。

母親に負われさよなら云いし子の なまえの残る きかんしゃトーマス

子どもが家庭に戻る。
家庭に戻った後も子どもが施設で過ごした痕跡は残る。玩具やロッカーに書かれた名前、おさがりの洋服、お気に入りの三輪車、一緒にタンポポを摘んだ散歩道等々。それを見る時、その場所に立つ時、当時を想い、今の幸せを願うのである。
家庭復帰後に再び施設に戻ってくる子どもがいる。
子どもの課題が改善しても、家庭に潜在している根っこの所が変わっていなかった、ということが多い。そもそも、子どもに問題があったわけではないのだろう。子どもの成長だけに頼った家庭復帰にならないように、多様な側面から支援をしなければならいと思っている。
 
法人事務局長 斑目 宏 
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